所得税:年末調整について。まだ9月ですがもう戦いは始まっています。

 年末調整は給与所得者の所得税の源泉徴収税額を調整する手続きです。所得税とは言っても徴収する法人等の側のお話になります。

 年末調整という名前の通り12月に作業が行われるわけですが、平均的な会社では12月は賞与の支給もあり、給与の支払いを担当する部署の皆さんにとって、通常業務にこれらが上乗せされるためかなりの忙しさになります。

 国税庁のホームページを見ると9月10日に年末調整に関する情報が掲載されていました。戦いは始まっているようです。

https://www.nta.go.jp/users/gensen/index.htm

 掲載されている情報の中に「年末調整のしかた」という冊子があります。担当者のバイブルですね。

 最初の章に「昨年と比べて変わった点」がまとめてあります。

 1 給与所得控除に関する改正
 2 基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正
 3 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正
 4 ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正
 5 年末調整関係手続の電子化

 金額面の改正・書面の改正の両方があり、ソフトウェアの力を借りないと正しい計算が難しくなってきているなと正直感じます。

 で、5番目の項目の「年末調整関係手続の電子化」。これだけはちょっと毛色が違います。保険料控除証明書等について、従業員と会社の間で、従来の紙でのやり取りに加えて、電子データでのやり取りも認めますよ、という内容です。

 国としては年末調整手続きで最も手間のかかる保険料控除証明書のチェック作業を簡便化してあげたいと思ってくれているのでしょう。 

 そのお気持ち大変ありがたいことです。少ない人員で何百人、何千人分の書類をチェックするのは大変です。実際、中小企業より大企業の方が大変でしょう。うまく導入出来れば相当な時間短縮効果が見込まれます。

 でもですね、会社としてはルール整備が必要なんですね~。従業員向けの「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」は10月に公開が予定されている様子です。給与計算ソフトが対応するのは11月以降になりそうな感じ。会社としては「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請」ってのも出さないといけないようです。全体像が見えない状況でルールを整備するのはなかなか難しいですよね~。

 まあ、電子化をしなければならないという義務的なものでなく、電子化も選択できるというものですので、とりあえず今年は例年通りのやり方で、来年から着手してみようかという流れになりそうな気がしますね~