中小企業支援施策:中小企業成長促進法が10月1日に施行されます

 毎日チェックしている中小企業庁のHPに新しい情報が掲載されていました。経済産業省のHPにリンクされています。

「中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律」(中小企業成長促進法)が10月1日に施行されます(令和2年9月15日)

 説明書きには「中小企業成長促進法は、中小企業の廃業を防ぐとともに、中小企業が積極的に事業展開を行い、成長できる環境を整備するために、経営者保証の解除支援、みなし中小企業者特例、海外展開支援、計画制度の整理など、必要な措置を講ずるものです。」とあります。

 ざっと見た感じ、あまり規模の大きくない中小企業に関係しそうなものは「経営者保証の解除支援」でしょう。

 事業承継でネックになるのが借入金についての連帯保証を後継者が引き継がなければならないこと。血のつながった子息でも嫌がることが多いわけですが、第三者に承継したい場合は尚更です。

 金融機関では法人向け融資について代表者に連帯保証してもらうことは当たり前のことと考えています。中小企業の場合は事業=生活であり、万が一のことがあったら事業の方からだけでなく生活の方からも回収することを考えているわけです。

 そういった状況下で、さあ事業承継だ!と考えたときに、後を継ぐ人はどう思うでしょう?

 なんで自分で借金してへんのに引き継がなあかんねん!引き継いでもし経営が上手くいかんかったら家まで取られるんかい!って思うでしょう。事業承継は進まないわけです。

 数年前から事業承継の推進に本腰を入れてきている国としては、自分の制度でなんとかできる保証協会の保証付き融資については柔軟な対応をとる姿勢を見せてきています。実際に平成30年4月から経営者保証を不要とする制度を運用しはじめています。

 今回の改正は、自分(国)の制度ではなんともできない金融機関独自の融資(いわゆるプロパー融資)を自分の制度である保証協会の保証付き融資に切り替えること認めるものです。既に4月からは事業承継特別保証という制度で対応を開始していたようですが、これにさらに特別枠を設けて対応を強化することになります。

 国としては事業承継が出来ずに廃業が増加することでの経済の停滞は好ましくないと考えています。これまでにも事業承継についてのハードルを下げるための施策を打ち出してきていますが、今回はさらに踏み込んできたといえるのでしょう。

 実際に利用するとなると条件がいろいろとあるのですんなりいくわけではありませんが、もともと事業承継は時間がかかるもの。必要な条件を意識しながら後継者へのバトンタッチの準備を進めていく必要があると思います。