贈与税:「暦年課税制度」について

9月も終わりに近づいてきました。今年も残り3か月ちょっとです。今回は贈与税についてのお話です。

「贈与税」は「贈る・与える・税金」という渡す側からの表現ですが、実際には贈与を受けた人、財産を貰った人が払う税金です。

税制上は「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」という2種類の課税方法がありますが、「暦年課税制度」のポイントを簡単に説明します。

「暦年課税制度」は皆さんが一般的に贈与を受けたときに支払うべき税として認識されている制度のことです。

国税庁HPのタックスアンサーに掲載されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

 

知っておくべきポイントは以下の4点です。

 ①その年の1月1日から12月31日までの間に贈与によりもらった財産に課税されること

 ②110万円の基礎控除があること

 ③一般税率と特例税率があること

 ④贈与金額が増えるにしたがって税率が上昇すること

 

①については今年であれば残り3か月ということです。相続対策という点では早ければ早いほど良いとも考えられます。

②については皆さんご存じの通り「110万円までは贈与税がかからない」ということです。もらった財産の合計額から110万円の基礎控除額を引いた残りの金額に税率を乗じて税額を計算することになっています。100万円もらったとすると100万円-110万円=-10万円となり、残りの金額がゼロとなるため贈与税額はゼロとなります。

③については直系尊属(祖父母・父母)からの贈与とその他の贈与とでは税率が異なるということです。世代間の財産の移転についてはちょっと税金を優遇してあげようというものです。

④については多くの財産を貰ったら多くの税金を払ってもらいますよということです。「贈与税は相続税の補完税」と言われています。贈与をたくさんすれば相続税がその分減ります。でも国はそれを許してくれません。贈与に対して税を課し、大きな金額の贈与に対してはその税率を高く設定することで、将来納めてもらう予定であった税金を先に負担してもらおうとしているわけです。

ポイントの説明は以上です。税とは異なる観点から注意点をひとつだけ。

そもそも「贈与」という行為は民法第五百四十九条に「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定されています。あげる側ともらう側の双方の意思が必要なのです。

税務調査でも贈与が成立していたかどうかが焦点とされることが多いのでこの点は十分注意してください。金融機関勤務時に子供の名義や孫の名義で預金してるって人はたくさん見ておりますので。

相続対策で贈与を活用する場合は専門家である税理士にご相談を。相続税の試算とセットで検討することをお勧めします。